宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の宙(そら)組公演が6月20日、宝塚大劇場で8カ月半ぶりに再開する。宙組に所属していた劇団員の女性(当時25)が昨年9月末に亡くなってから、中止が続いていた。歌劇団は「安心・安全に公演を実施できる環境が整った」とするが、識者は「必要な対応をあいまいにしたまま問題をやり過ごしている」と指摘する。
歌劇団「環境整った」 処分なしには疑問の声
女性が亡くなって半年後の今年3月末。歌劇団側は、それまで認めてこなかった上級生(先輩劇団員)らによるパワハラ行為を認め、遺族側に謝罪した。
中止していた宙組公演の6月再開を発表したのは、それから半月後の4月13日だった。再開の理由について、歌劇団は取材に「十分な準備期間を確保し、出演者、スタッフが安心・安全に公演を実施できる環境が整ったと判断したため」と回答した。
しかし、宙組では3月末から5月上旬にかけ、女性の同期生と下級生(後輩劇団員)の4人が再開を待たずに即日退団。一方で、上級生を含むその他の劇団員は再開公演の出演者に名前を連ねる。
歌劇団は3月末の記者会見で、「管理していなかった劇団の責任。一人一人に責任を負わせるのはあまりにも重い」(村上浩爾理事長)との認識を示したが、「パワハラにかかわった上級生らを処分しないまま再開するのか」という疑問の声は収まらず、歌劇団を運営する阪急電鉄の親会社である阪急阪神ホールディングスが6月14日に開いた株主総会でも、株主から上級生らの責任を問う声が上がった。
パワハラ、長時間労働の防止策は
歌劇団は3月末、パワハラや…